風になって大空を自由に飛びたい。誰もが1度はそう考えたことがあるのではないでしょうか。風にはなれませんでしたが、ヘリコプターで大空に舞い上がり、山陰の海岸沿いを散歩しました。
写真手前には、彦島の海士郷と伊崎の間の小瀬戸が見えます。かつては小瀬戸を中心に小船漁が盛んでした。また、武久海岸から安岡海岸にかけては、多くの海水浴客が訪れ、松林にはキャンプを楽しむ人々のテントが散在していました。
現在、武久から安岡にかけての山陰海岸には、松林の姿はほとんど消えてなくなり、住宅が海近くまで迫ってきています。将来は、この地区に下関北バイパスが走り、写真左のあたりには沖合人工島ができあがります。
風景は魂の状態であるから、風景はあらかじめ人の内にあるものを外に見るものであるという考え方があります。層だとすれば、大人は現在の風景から魂の中の昔の風景をも見ていることになります。最近生まれた子供達はどうなのでしょう。大きく変化しつつあるこの地域の風景を、彼らは直接、魂の内側に焼き付けていくのでしょうか。
「潮風」96年10月1日号より
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