No.1
2008年(平成20)5月10日発行
中国ブロック選出・山口県弁護士会
日弁連 副会長 田川章次

日弁連副会長就任ごあいさつ
 2008(平成20)年度が始まり、私も中国ブロック推薦の副会長として3月8日の日弁連代議員会で受諾の挨拶をし、4月に入ってから宮崎誠新会長を筆頭に13人の副会長と新事務総長の合計15名が打ち揃って新任のあいさつ回りをしました。
法務省に鳩山法務大臣を訪ね、最高検察庁、高等検察長等を回り、午後には、最高裁長官以下最高裁判事一人宛に表敬訪問をしました。
 この挨拶回りで、新執行部に課せられているのが、一年後に迫った裁判員裁判の実施、激増する法曹人口問題、冤罪防止のための取り調べ全過程の可視化等多くの問題があることを痛感させられました。
全執行部体当たりでこれらの課題に取り組み、国民と会員の立場にたって願いを実現することを強く決意しております。
 私は、以前下関市での人権大会実行委員長をさせて貰った経験から担当委員会の希望として、人権大会関係のPT(プロジェクトチーム)とWG(ワーキンググループ)を希望しましたが、人権大会の第3分科会の「生活保護問題」が担当になっただけで、主担当としては、国際人権問題や国際活動等の国際問題となりました。
国際化の時代を迎え、日本が世界で果たすべき役割が大きくなっているなかで、法律専門家の強制加入団体として各界各層より日弁連に対する期待が高まっています。それだけに、担当副会長としての責任は重いものがありますが、私も、健康に留意して力一杯頑張る所存です。
 そして、本年特に留意をしたいのは、中国地方推薦の日弁連副会長として、地元中国ブロックに居住される住民とその立場に立って活動される会員の要望と意見を集約し、日弁連会務に反映することです。そのための太いパイプになりたいと、私は考えておりますので、会員諸先生のご指導とご援助をよろしくお願いいたします。
2008(平成20)年4月10日     
日本弁護士連合会副会長 田川 章次

法曹人口問題について
 2007年秋の中弁大会において法曹人口の見直しについての議決が成立しました。
全国で初のブロック決議であるため、各方面から注目をされました。
その後、中部弁連でも同様の決議が出され、本年度の日弁連会長選挙で最大の争点となりました。人口増に真っ向から反対する候補が大きく支持を広げ、会員の弁護士人口急増に対する不満が強いことが明らかになりました。
当選した宮崎誠新会長も、弁護士人口増について2010年3,000名のスローダウンを公約としていました。
このような弁護士会の動きに対し司法改革の理念を忘れずに、とか、司法改革を後退させぬように等、手厳しい批判が新聞社説等でなされています。
このような弁護士会内の雰囲気と世論の動向にはかい離があるといわざるを得ません。
新執行部が、3日に鳩山法務大臣に挨拶に行った際には、法務省が法曹人口に関する見解の表明をするので日弁連は余り発言をしないほうが良いのではと釘をさされたりしました。
その後、与党の自民党と公明党との日弁連新執行部との間で、2日間の朝にわたり午前7時半からの朝食会が開かれましたが、ここでも法曹人口問題が最大の話題となりました。
 このような状況をふまえ、新執行部は、会長の委嘱による「法曹人口問題検討ワーキンググループ」を発足させ、7、8月を目途にして暫定提言を行うことになりました。
その提言の内容は、司法改革の方向は維持しながら法曹の質を維持する、という点で司法試験の合格者数を配慮する等して、スローダウンを図れないか。また、司法書士等隣接士業の参入といった想定外の事実も考慮する必要がある、といったことです。
この問題についての会員所先生の率直なご意見を頂きたいと考えております。

日弁連と中弁連との連携
中国ブロック選出の日弁連副会長は、中国5県の単位会が15年で1巡する方法で推薦、選出することになり、山口県弁護士会からも出して頂けるようになっています。
ところが、中国ブロックの中心から外れた位置にあるため他の4会の実情を把握できないという状況にあります。
副会長として日弁連に出て来ると中弁連理事会にも、時間の都合がつかなくて出席することが叶いません。そこで、4月の日弁連理事会に上京された5人の各会会長と話し合い、理事会初日の夕刻理事会終了後連絡会を開くことにしました。余り、形式ばらずにザックバランに話し合い、食事でも共にしようと考えています。
中弁連所属の先生方の日弁連や私に対する注文やご意見等ありましたら、各会長を通じ、あるいは直接お電話をして頂くなどして下さるようお願いします。


国連拷問禁止委員会
代用監獄廃止と取調べの可視化を求める
4月11日、日弁連副会長初仕事として、日弁連の招待で来日された国連拷問禁止委員会の委員マリーニョ・メネンデスさんを迎えての諸行事がありました。
12時から衆議院の会議室で、各党の議員に対してメネンデスさんの話がありました。その後、
関係各省庁の役人さん達が出席して今年の5月に予定されている日本政府の報告書についての事前調査がありました。
また夕刻から弁護士会館でメネンデスさんを迎えて
「国連拷問禁止委員会勧告実現のために、今なにをすべきか」?自白強要や非人道的処遇を許す 我が国の人権状況につきつけられたもの?というシンポジウムがあり、100名を超える参加者と全国向けの実況中継が行われました。
そのシンポの冒頭に、私が日弁連を代表して行ったあいさつがありますのでここに紹介させていただきます。

担当副会長あいさつ
 本日はお忙しいなか、多くの方々にお越しいただき、誠にありがとうございます。
昨年5月、国連の拷問禁止委員会は、拷問等禁止条約の実地状況に関する第1回の日本政府報告書に対して、最終見解を示しました。拷問等禁止条約は、1984年に国連総会で採択され、1987年に発効した条約です。日本はこの条約を1999年に批准しました。日本政府は本来であれば、批准・発効から1年以内に拷問禁止委員会に対する報告書を提出する義務があるわけですが、実際に報告書が提出されたのは、提出期限から5年も遅れた2005年12月であったわけです。
 こうして漸く提出された日本政府報告書に対し、拷問禁止委員会は極めて厳しい勧告を行いました。
すなわち、代用監獄の廃止、取調べの可視化をはじめとする取調べに対する規制措置の導入、入管行政・難民認定制度の改善。そして死刑執行の即時停止などです。これらの勧告は、我が国の人権状況における問題点を的確に把握した上で、具体的、かつ詳細に、改善の方策を勧告していることに特徴があり、画期的な内容と言えます。
しかも代用監獄や取調べに対する規制、入管・難民行政など4項目については、勧告から1年以内に、委員会に対して情報提供を行うことが、日本政府に求められました。つまり日本政府は来月までに、委員会へ報告を行う必要があるのです。この重要な時期に、はるばるスペインから、フェルナンド・マリーニョ・メネンデスさんにお越しいただきました。

マリーニョ・メネンデスさんは、最終見解の作成にあたり、日本政府報告書審査の主査委員として中心的役割を果たされた方であり、いわば、この勧告の生みの親ともいうべき方です。
このあと、マリーニョ・メネンデスさんからご講演をいただき、拷問禁止委員会によって我が国につきつけられた課題を示していただきます。
そして、続くパネルディスカッションでは、宇都宮大学の今井正(ただし)教授にも加わっていただき、わたしたちの今後の取り組みの方向性を明確化していきたいと思います。
このシンポジウムが、日本人の人権状況を、国際人権気順にかなったものへと転換していくための重要なステップとなることを願って、わたしの挨拶とさせていただきます。