No.3
2008年(平成20)7月10日発行
中国ブロック選出・山口県弁護士会
日弁連 副会長 田川章次

2008(平成20)年度 第3回理事会
2008年6月19日・20日
日弁連17階会議室
 日弁連においては、総会に次いで権限を有するのが理事会である。各単位会の会長等71名が理事となっており、毎月2日間にわたって多数の議案が熱心に審議されます。
私が、山口県弁護士会の会長、日弁連理事を勤めた1984(昭和59)年度には月1日だったので、日弁連会務が如何に多様になったかが理解できるところです。

 5月末に、定期総会が開かれ熱心な議論があり、執行部提案の議案が全て圧倒的多数で可決され、執行部は大きな峠を越えたような感じがあります。
しかしながら、本年度の執行部には、大きな課題があります。それは「法曹人口」問題です。
この課題について、今回理事会に初めての提言案を提出しました。その要旨は、後記に示したとおりです。
この提案について理事のなかからは、これ以上の弁護士増は高収入と低収入の二極化により、食えない弁護士が出て、人権擁護という基本課題が遂行出来なくなる、という不安が提起されました。また、法曹の質ということにも、これをどのように捉えるのか大きな問題があるとの指摘がなされました。

 今後のスケジュールについては、司法試験委員会が合格者を決定する前である7月理事会で結論を出し、その後、各界の意見を求めて提言の内容を豊かにしたい、と執行部の考えが明らかにされました。
 また、法科大学院の問題についても論議が沸騰しました。
法科大学院の側から、法曹人口減に対する意見をどのように乗り越えるのか。この課題があることが明らかになりました。
 この問題は、最重要課題ですので、2日間にわたり審議されました。
また、2日目の会議冒頭にその日朝開かれた自民党の司法制度調査会の審議結果が傍聴した副会長から報告されました。
その内容は、ロースクールバッシングが続いており、数にこだわるべきではなく、今年の司法試験は厳しく対処すべきで、司法書士等の士業は重視すべきである、等の発言があり、今年の司法試験合格者数を1000〜1200程度にすべきである、という方向について、100名程度の賛同者がある、という発言があったということです。
 理事会では、この提言について説得力がない、その理由は法的ニーズについての言及がないからだ、との指摘がなされました。
一方、見直しに反対だという意見にも配慮されているようなので、その立場について説明をして欲しいという意見がありました。
東北のある単位会からは、単位会における許容される弁護士数を調べる必要がある、という要望もありました。
これに対し、執行部からは、法的ニーズについて、これを現時点で確定することは困難であり、会員全体で明らかにして行く必要があるが、ニーズは弁護士がとやかくいうことではなく、ユーザーが決めるものではないか、という考えがあると指摘し、また、法曹人口減についてはロースクール関係者から強い反対が出ている、と説明しました。
 九州の理事から、法的ニーズと法曹人口問題は、国民の目線から論議すべきであり、国民は弁護士の味方ではないという意見がありました。
弁護士法人も過疎対策として活用できているという実態があり、その場合その地域住民の視点に立って考えるべきである。
鳥取の大田原理事の発言は、48期以降の若手はこれ以上の増員に反対だ、というけれども、この人たちは仕事を探す真の努力をしていないのではないか。市民のニーズはあるのに、努力しない人のことを考えると、この提言は手ぬるい、昨年程度に止める。その数値を明らかにすべきというものでした。
 これに対し、執行部から、数については司法試験委員会が今年度数値2100〜2500名とされているが、質の問題を考慮して厳しく対応されるべきだとの説明がありました。
 島根の水野理事からは、弁護士過疎地の問題について詳述すべきだとの発言がありました。広島の石口理事は、第1日目の理事会で、法科大学院について発言があり、大学院関係者としては法曹人口減について深刻に受け止めていると発言がありました。
岡山の秋山理事も大学院における教育内容についての発言をされました。
山口の内山理事は、親族のご不幸で山元副会長が代理出席をされたことから意見の表明はありませんでした。
 執行部は、この提言を各単位会で論議をして貰い7月の理事会で可決して頂いて司法試験の確定前に提言を公表したいので宜しくお願いしたい、と要請をしました。
このような次第で、早急に日弁連の法曹人口についての提言に会員の皆さまが賛同をして下さるようお願いいたします。

写真は理事会風景


提言の趣旨
 本年度(2008年度)司法試験(新・旧)の合否判定にあたっては、新しい法曹養成制度が未だ成熟途上にあることに鑑み、合格判定について、「2010年頃に合格者3000人程度」との数値目標にとらわれることなく、法曹の質の確保に十分配慮して、判定されるべきである。

公ドイツ連邦弁護士会と
日弁連の友好協定締結
 はるばるドイツから15人の弁護士を代表してドイツ連邦弁護士連合会の会長以下5名の代表団が来日され、6月24日午後、日弁連と友好協定を締結調印式がありました。私は、国際担当副会長の立場で、両会長調印に立ち会いました。
この日は、代表団がドイツ参審制の経験について講演をされ、その後意見交換会があり、夕方からは歓迎夕食会が皇居の堀の見える日本料理店でありました。その際の歓迎挨拶、別記のとおりです。
この交流で、8500万人のドイツでは毎年1万人の司法試験合格者があり、15万人もの弁護士がいて豊かな弁護士と会費も払えず脱落したり、食べるためにタクシー運転手をするものもいる、ということでした。日弁連にとっても、法曹人口問題という切迫した課題に直面しているだけに他人事とは思えませんでした。

写真は調印式立会

ドイツ連邦弁護士会歓迎夕食会
歓迎の挨拶
Guten Arbend(こんばんは)、本日は、はるばるドイツの地から当日本弁護士連合会に友好協定調印のため訪問して下さいました連邦弁護士連合会の先生方に心から歓迎と感謝の意を表します。
ドイツの法律制度は、日本が明治維新以来近代法律制度を確立するに当たり模範として多くのものを学んでおります。そして、先の大戦におきまして両国は、加害と被害という大きな痛苦を体験しました。それを乗り越えて、両国の国民は国際社会において名誉ある役割を果たすべく努力を続けております。日本国民は、平和と民主主義を基調とする日本国憲法を制定し、当日本弁護士連合会は、その理念を実現すべく会員一同力を合わせているところであります。
その活動のなかで、最近の大きな課題として、発展途上国に対する法整備支援を内容とする国際司法支援をどのように進めるか、ということがあります。
本日は、同様の問題を持たれるドイツ連邦弁護士連合会の先生方と実りある意見交換の機会を持つことができましたのは、大変有意義でありました。
また、参審員裁判についてご講演を頂き、会場とネットを通じて全国で800名もの人が聞くことが出来たのは大きな成果でした。このような熱心な活動をして頂きお疲れさまでした。
このご労苦を頂きお疲れのみなさまを慰労するため、この歓迎夕食会を持ちました。本日は、2005年プラハで開かれましたIBA総会の際にドイツ連邦弁護士連合会と交流会の機会を得て歓迎夕食会を持って頂いた際、出席しました高木佳子元副会長方も出席しております。
どうか、ゆっくりとご歓談下さるようお願いし、私の挨拶とさせて頂きます。
ダンケシエーン(有難うございました。)

国連人権理事会 UPR
普遍定期審査
 国連人権理事会というのは、安保理事会、経済理事会と並ぶ3本柱の一つである。日本は、3年前に理事国になり、任期は2年だが、今年2期目の理事に立候補し、再選された。

今年はUPR(普遍定期審査)の年で、5月にジュネーブでの理事会作業部会で定期審査が行われ、26項目の勧告を受けていたが、6月13日対応を明らかにした。
13項目を受入れ、4項目を前向きに検討し、9項目について拒否した。
このUPRに当たって日弁連は国内最大のNGO団体として、国連で活発なロビー活動を他のNGOの先頭で頑張り,歴史的な成果をあげた。
国際人権問題の委員たちは、国内の委員と連携をとって会長談話や意見書を発表し、大きな力を発揮した。今回の成果で、とりわけ大きな成果は個人通報制度の導入に道が開けたことである。
一方、代用監獄や取調の可視化等は受け入れを拒否していることから、日弁連はひき続いて日本の人権状況の改善に努める、とのコメントを発表した。
この件は、理事会にも映像つきで報告された。



東京三弁護士会、日弁連共催
どうして生活は楽にならないの?
〜憲法の生存権、働く権利は確保されているのか〜
 今年10月2、3日、富山で開かれる日弁連人権擁護大会は、「人権のための行動宣言」をテーマとして開かれ、三つの分科会のうち第三分科会が「労働と貧困 拡大するワーキングプアー」を取り上げます。私は、この第三分科会の担当副会長となっています。
そんな役目がら人権擁護大会のプレシンポとして開かれるこの集りは見逃すことは出来ません 。それに講師の森永卓郎さんといえばテレビでお馴染みで、おまけグッズの収集家としても知られており、一度話を聞いて見たいと思っていました。
森永さんの話は、期待どおり、面白く興味深いものでした。小泉構造改革路線こそが、労働法制を企業にとって自由なものに変え、労働が商品となって止めどもなく買いたたかれていった。その結果、ネットカフェ難民のようなワーキングプアーが産出されることになったのだ、という指摘には成程とうなずきました。森永さんは、マスコミでも超売れっ子の人気ものですが、小泉批判のため仕事を干されていた時期もあったこともあり、この国のマスコミのあり方にも厳しい目を向けておられました。
地方でも、森永さんの話を聞けたらと、担当の第二東京弁護士会の会長も兼任する日弁連副会長にギャラはどれ位かと来たのですが、はぐらかされ結論は聞けませんでした。
こんなことからも、やはり東京は恵まれていて、,若い人達が東京から離れられないのはこんなところにも理由があるのだろうなと考えました。この講演に続いてパネルデスカッシヨンがありました。
独教大学の金沢誠一教授、西南学院大学で憲法を担当される遠藤 美准教授、元駐スウェーデン特命全権大使だった藤井 威独教大学教授の話も、それぞれの観点から、大変示唆に富む興味深いものでした。

広島弁護士会主催・中弁連共催・日弁連後援
いざ、消費者庁の実現へ
        〜地方からの眼差し〜
 標題のシンポシウムが、広島KKR会館で行われたので、朝、品川発新幹線で広島まで行きました。この集会には、主務大臣である岸田文雄生活担当大臣も出席されるということで、集会最後の締めとなる閉会挨拶をどのようにまとめたものかと些か緊張して参加しました。
 集会冒頭には、石口広島弁護士会長の挨拶がありましたが、多重債務、建築紛争等全国の先駆けとして、また、全国的活動の中心となってきた同弁護士会の中核活動メンバーであるだけに、これまでの取り組みとこれからの課題について端的に触れた挨拶でした。
その後、日弁連消費者問題対策委員会の吉岡和弘委員長から「消費者庁構想と日弁連の取り組み」と題して報告がありました。
詳細な報告でしたが、安倍晋三氏の政権投げ出しによる福田首相誕生で、俄にこの構想が浮上し不人気な同内閣の目玉方針として急ピッチで実現を目指す取り組みが進められているということです。続いて、広島木村豊弁護士会から広島県の消費者行政についての話があった。その後、広島弁護士会ならではの「相談現場から−相談員らによる寸劇」がありました。一体誰がこのシナリオを書くのかと感心します。
 第2部で、いよいよ岸田大臣の登場でした。
同大臣の経過説明によると、福田首相はなみなみならぬ決意で取り組む姿勢を明らかにしているということでした。官主導の社会から国民が主役の社会へ、と転換して行く時であり、消費者庁は消費者の安全、安心に関わる問題を幅広く所管し、消費者に身近かな問題を取り扱う法律を同庁にすることとし、今年度中に前倒しして、実施できることは早急に着手するということでした。
このような大臣の報告に続き、地元で活動する消費者団体や、弁護団、自治体関係者、広島大学の先生等の活動報告と大臣への要望がなされました。それを受けて、大臣より消費者庁実現のために奮闘するが、縦割りの関係省庁の抵抗は大きいものがあるので国民の幅広く力強い応援をお願いしたいとの「決意表明」がなされました。
 最後に、私が日弁連を代表して閉会挨拶をしました。日弁連は20年前の松江での人権大会で「消費者庁」の設置を求め、以後さまざまな取り組みを続けてきたが、その実現も間近かに迫っている。しかし、関係省庁の抵抗で消費者庁が骨抜きにならないよう、日弁連は、国民とともに奮闘する決意であるので、共に頑張りましょうとエールを送っておきました。