No.8

2008年(平成20)12月10日発行
中国ブロック選出・山口県弁護士会
日弁連 副会長 田川章次


第8回理事会
於 
2008年11月18・19日
日弁連17階会議室

多くの議題が審議され、報告も多くなされましたが、
中国ブロックの会員にお伝えしたいのは、次のような点です。

会長挨拶
 この間、11月8日に第23回司法シンポジウムを開催し、弁護士約500名、一般市民約700名の合計約1200名が来場した。
 高校生模擬裁選手権、各会場、映画の上映いずれも満員。
高校生模擬裁判選手権では、勝って泣き、負けて泣き。裁判員裁判自体のシンポも有意義であり、テレビでも放映された。
 11月13日に報酬の過大請求に関して、刑事弁護充実の内容もあわせたお願い文書を全会員宛発送した。
政治情勢は流動的であり、解散がなかなか行われず国会が動き出している。
本日朝、公明党との朝食会を行い、太田代表以下幹部17名が出席された。扶助予算と扶助制度の改革、消費者庁問題審議入りを要請したが、今後自民党、民主党に対しても要請する予定である。
衆院法務委員会では、裁判員等についての質疑があり、岡山の過大請求事案についても質問があったが、法務省から事後調査を行うなど再発防止策を検討中との答弁があったのみで、それ以上踏み込んだ答弁はない。
国選報酬は安すぎるので増額が必要との質問があったのに対し、岡山の事案とは切り離して検討していくとの答弁があった。日弁連としては、今後各政党、法務省との協議を踏まえて取り組んでいきたい。
日弁連提案「国内人権機関の制度要綱案」可決の件
 藤原精吾ワーキンググループ座長から、10月15、16日、自由権規約に関する日本の状況についての国連審査が行われ、31日には、日本政府に対する総括所見で独立人権機関が設立されていないことについて懸念が表明され早期の実現を求める旨の勧告も出されている。
日弁連としての要綱をぜひ確定願いたいとの要望があった。
これに対し、理事会は一部表現を修正の上承認した。
生活保護法改正案要綱案(日弁連案)可決の件
 田川副会長より、2006年の釧路人権大会で貧困の連鎖を断ち切り、すべての人の尊厳に値する生存を実現することを求める決議を採択したが、これを実現するために生活保護問題緊急対策委員会が設置され、これまで活動してきた。
 この問題はワーキングプア、セーフティネットといった労働と貧困の問題と深く関わっている。今年の富山人権大会第3部会でも取り上げた。今後予定しているシンポに向けて是非採択して頂きたいと提案があり、続いて、竹下義樹生活保護問題緊急対策委員会副委員長から要綱案の趣旨説明が、次のようになされた。
 わが国では、生活保護法がありながら餓死者が発生している。水際作戦でこれらの人は生活保護から排除されている。
 ドイツでは法改正がなされ、社会扶助の充実を図ったところ、ワーキングプアを発生させることなく就業者を増やすことに成功している。韓国では生活保護法から基礎生活保障法に替えている。
日本でも、保護ではなく、権利性を高めることを求めて提案するものである。
これに対し、理事会は執行部に修文を一任の上承認した。
「量刑制度を考える超党派の会の
刑法等の一部を改正する法律案(終身刑導入の関係)」に対する
日弁連意見書案採択の件
 神洋 明 量刑制度に関する検討ワーキンググループ座長より、同案に対する反対の趣旨についての説明提案がなされた。
無期刑の仮釈放については、過去は20年を待たずに仮釈放されていたが、平成15年以降の仮釈放者はすべて20年以上となっているとの補足説明もなされた。
これに対し、賛成、反対、悩んでいる等の意見が表明された。
 これらの議論を踏まえ、最後に神座長より次のように補足説明がなされた。
即ち、長期受刑者では55年という受刑者がおり、こういう受刑者は身元引受人もなく終身刑化すると思われる。獄死する例も多い。この10年では、仮釈放者は79名に対し、獄死者は120名である。と。
 その上で、採決され賛成多数(賛成64、反対4、棄権12)で承認となった。
四国弁護士会連合会定期大会
 四国弁護士会連合会は、四国四県の各弁護士会からなっており、会員総数は356名で、全国8ブロックの各連合会では、最も少数精鋭です。
11月13日の正副会長会は9時から始め、午後4時すぎには飛行機で高松に向かいました。
前夜懇親会は、高松市郊外の歴史的建造物という元讃岐藩の与力屋敷で行われました。
ご当地名物の讃岐うどんは、締めの料理として出され美味しく頂きました。
翌日午前は、裁判員裁判のシンポジウムが開かれました。
その間、正副会長会を開いていましたので私どもは、出ることが出来ませんでした。
 このシンポジウムの成果は大会で裁判員裁判の推進を求める決議として採択されました。退会後の懇親会は洋食のフルコースで、大きな弁連では出来ない洒落て、小粋なものでした。
 翌週は、会務の関係で、帰関せず東京に帰ることにしました。
午後の飛行機出発前に、小学校の修学旅行の想い出を辿るべく、屋島と栗林公園に行きました。
屋島は、日本の昔の観光地がそうであるようにさびれており、寂しい思いがました。
屋島の駅から行きはタクシーで行きましたが、帰りは歩いて下山しました。その後、栗林公園に行きましたが、ここは松の緑が変わらず立派な庭園が維持されているのには感激しました。
労働者派遣集会法の抜本的改正を求める院内集会
 日弁連は、11月20日午後3時より、衆議院第2議員会館で、標題の集会を開き、私は冒頭の主催者挨拶を行いました。
 日弁連は、政府提出の法案は不十分なもので急進行する日本の不況のもと、多くの非正規労働者が解雇の危機にさらされており、抜本的改正こそが必要であることは会長声明で明らかにしていると訴えました。
 非正規雇用の労働者の皆さんが、何人も、その悲惨な実情を述べられ、共感を呼んでいました。
なかでも、トルコ航空の若い女性スチュアーデスさんが、トルコ人正規職員の3分の1の200万円で働かされ、さらにまた給料の引き下げをされそうだという訴えには驚きました。
12月下旬に国際人権関係でトルコに招請されている日弁連委員に、このことを現地でアピールして貰う必要があると思いました。
 満員の集会には、テレビカメラも数台入り、国会議員問題10名余主出席して貰い、翌日の新聞にもいくつかの社が取り上げました。
近畿弁護士連合会人権擁護大会
 近畿弁護士会連合会は、大阪、京都、兵庫、滋賀、奈良、和歌山の二府四県の6単位会(4561名)で構成され、関弁連に次ぐ大きな弁連です。
近弁連は、弁連大会と人権擁護大会と隔年に交互にやっており、今年は人権大会として滋賀県大津市で行われました。
 11月23日の正副会長会議は1時間繰り上げて9時半から始め午後1時半迄の会議後、連れだって東京駅から新幹線で京都に行き東海道線に乗り換えて大津に行き、会場と宿舎の琵琶湖ホテルに行きました。琵琶湖を一望する綺麗なホテルでした。
 前夜懇親会は、琵琶湖名産のものを頂きました。
名物の「鮒鮨」も出てきましたが、なかなか風味があり、ブルーチーズの最も匂いの強いのと良い勝負だなと思いました。翌朝は、大津駅近くの滋賀県弁護士会館を借りて日弁連にいる次長の方々を交えての電話会議による正副会長会を続行しました。
午後は、本番の近弁連人権擁護大会で修復的司法と受刑者の人権問題と琵琶湖の自然を守る趣旨等の3つの宣言・決議が採択されました。
その後、懇親会は盛大かつ和やかに行われました。
そして、翌日は地元の村山副会長のお世話で執行部有志が夫人同伴で琵琶湖の湖東三山等の紅葉の名所を訪ね素晴らしい紅葉を愛でることが出来ました。
 これで、弁連ツアーは全て終了しました。後は、12月の臨時総会が執行部にとり大きな課題です。
国際人権(自由権)規約委員会
画期的な総括所見を表明
 国際人権(自由権)規約委員会は、2008年10月行われた審査を踏まえ、市民的及び政治的権利に関する国際規約(以下「自由権規約」という。)の実施状況に関する第5回日本政府報告書に対し、同年10月31日、総括所見を発表しました。
 総括所見は合計34項目にも及ぶ詳細なもので画期的な評価・勧告を行いました。
その大事な点は、会長声明要旨で述べている三点です。
個別的な問題点について、注目すべきものを紹介します。

(1)代用監獄制度・取調べ可視化等の刑事司法制度の改善
 代用監獄制度の廃止および自由権規約14条の完全な実施(取調べへの弁護人の立ち会い、逮捕時からの法律扶助、全医療記録を含む警察記録の開示、起訴前の保釈)、取調べ時間について制裁を伴う厳格な制限、全過程のビデオ録画を勧告した。
(2)「慰安婦」を含む女性・子どもに対する差別と暴力の防止
(3)外国人に対する差別、難民の保護
(4)マイノリティの保護
(5)死刑制度及び死刑確定者の保護
 死刑制度については、政府は世論に拘わらず死刑廃止を前向きに検討すること、死刑確定者の処遇及び高齢者・精神障がい者への死刑執行に対し、より人道的な対応をとること、死刑執行を事前に告知すること、恩赦・減刑・執行の猶予が利用可能となること、必要的上訴制度を導入し、再審・恩赦の請求に執行停止効を持たせること、再審弁護人との秘密接見の保障を勧告。
(6)刑事拘禁制度
(7)表現の自由に対する不合理な制限の撤廃
 委員会は、公職選挙法上戸別訪問が禁止されていること、市民や公務員がビラを配ったことにより逮捕・起訴されたこと等公共の問題に参加することに不合理な制限があることに懸念を表明し、このような不合理な制限を削除することを勧告した(26項)。
 なお、総括所見の内、代用監獄の廃止、取り調べ全過程の録画等4項目について、委員会は政府に対して一年以内の追加情報の提供を求めている。

日弁連会長声明(要旨)
 国際人権(自由権)規約委員会は、2008年10月行われた審査を踏まえ、市民的及び政治的権利に関する国際規約(以下「自由権規約」という。)の実施状況に関する第5回日本政府報告書に対する総括所見を31日、発表した。
 委員会は、前回の審査から今回の審査までの10年間に、男女共同参画基本計画の樹立、女性の雇用差別、女性と子どもに対する暴力問題等に関し、一定の改善がなされたこと及び国際刑事裁判所への加盟等を積極的な側面として評価した。
他方、わが国において解決を迫られている主要な個別的人権課題として、取調べ全過程の録画と代用監獄の廃止、死刑廃止の検討と死刑制度の改善、戸別訪問禁止等表現の自由に対する不合理な制限の撤廃等を含む多数の項目を掲げ具体的な改善を勧告した。
 とりわけ、日本の人権状況を改善するための制度的な措置として、以下の3点をあげた。
 第1点は、日本政府に第一選択議定書の批准を強く求めている点である。
委員会はこの制度が第四審として、国内法の解釈や適用を審査するものではなく、司法の独立に影響を及ぼすものではないと述べている。
 第2点は、政府から独立し、独立の調査・査察権限、財政的・人的基盤を有する実効的な国内人権救済機関の設置である。
 第3点は、裁判官・検察官・弁護士に対する国際人権法教育である。
この点は、前回審査で委員会の指摘を受け一部実施されてはいるが、未だ十分といえないので、自由権規約の解釈適用を職業訓練に含めるよう勧告がなされた。
 当連合会は、日本政府が、委員会の勧告を誠意をもって受けとめ、その解決に向けて努力することを強く求めるとともに、その実現のために全力で努力していく所存であることをここに表明する。