No.11

2009年(平成21)3月10日発行
中国ブロック選出・山口県弁護士会
日弁連 副会長 田川章次


第11回理事会
 
2009年2月19日・20日
 日弁連17階会議室

多くの議題が審議され、報告も多くなされましたが、中国ブロックの会員にお伝えしたいのは、次のような点です。
審議事項
 外国籍調停委員 司法委員の採用を求める
 意見書案について
〜意見の趣旨〜
 最高裁判所は、「弁護士となる資格を有する者、民事もしくは家事の紛争の解決に有用な専門的知識を有する者または社会生活の上で豊富な経験を有する者で、人格識見の高い年齢40年以上70年未満の者」であれば、日本国籍の有無にかかわらず、ひとしく民事調停委員及び家事調停委員に任命することを求める。司法委員についても、各地裁に対し、日本国籍の有無にかかわらず任命する旨を通達することを求める。
〜提言の趣旨〜
 2003年に兵庫県弁護士会が外国籍の方を調停委員として推薦したところ地裁から最高裁に上げられないということだったが、実質的には最高裁の指示と思われる。今回、仙台などでも同様の問題が生じている。一昨年日弁連は最高裁と非公式に折衝したが、最高裁からは、現段階で方針を変えるつもりはないと言われている。そこで、何らかの方針をまとめて当たっていくべきということとなり、人権擁護委員会の部会で後記の意見をまとめ、今後交渉を強めていくこととなった。 →次回に継続

審議事項
 当面の法曹人口のあり方に関する提言案の件
〜意見の趣旨〜
 別欄に掲載している執行部原案を説明した上で、翌日また議論し、3月に結論を出すことになった。提言は、中長期なものではなく「当面の」ものである。
 提案後、理事の意見を求めたところ活発な議論がなされた。
次回理事会で採決を予定。
〜提言の趣旨〜(別欄)
  1.  当連合会は、憲法のよって立つ法の支配の理念を社会の隅々にまでいきわたらせ、市民の権利・自由を保障する役割を十全に果たしうる司法の実現をめざして、今後も、司法制度の諸改革を積極的に推進する。この立場から、司法を担う法曹(裁判官・検察官・弁護士)について、質の維持・向上を図りつつ、市民が必要とする数を確保するべく、法曹人口5万人規模の体制整備に向けて、引き続き最大限の努力を行う。
  2.  今次の司法制度改革においては、司法・法曹への需要の変化を見据えつつ、人的基盤と制度的基盤の整備など、多岐にわたる諸改革の統一的かつ調和のとれた具体化と実行が必要とされている。しかし、新たな法曹養成制度は未だ成熟の途上にあって、種々の歪みや新規法曹の質についての懸念が各方面から指摘されている。法曹の質の確保、法的需要の動向、財政措置を含む司法の制度的基盤整備の状況など、司法を取り巻く環境の変化は、この間の弁護士人口増加の状況に比して、当初の想定に沿った進展に至っていない。
  3.  以上のような諸課題の改善・改革にはなお一定の年限が必要とされる状況を鑑みれば、来年度(2009年度)以降数年間は、司法試験合格者数について、現状の合格者数(注1)を目安としつつ、慎重かつ厳格な合否判定によって決定されることが相当である。
    その後の適正な法曹の質や人口のあり方については、上記の諸状況の変化を踏まえ、あらためて検討されるべきである。
注1 新司法試験が本格化した現状の合格者数は、以下の通りである。
     2007年度  新1,851人・旧248人  計2,099人
     2008年度  新2,065人・旧144人  計2,209人

要請事項
 派遣切り・雇い止めホットラインの
 実施状況について要請の件

 担当の田川副会長より、3月9日貧困と人権に関する委員会が取り組むホットラインが、無料の統一番号で、北は北海道旭川から南は沖縄まで全弁護士会で取り組むこととなった。
 日弁連としては全国統一で、これだけの規模で行われるのは画期的なことであり、出来る限り長時間取り組んで、困った人々の要望に応じたい。
また、このホットラインに取り組む若手弁護士のための研修を全国規模でテレビ会議を使って実施するので、多くの会員が受講して頂くよう求めた。

イラク弁護士国際人権法
人道法トレーニングに関する会長談話
 当連合会は、2009年3月22日から5日間にわたり、プラハで行われるイラク弁護士に対する国際人権法・人道法トレーニングに、実施団体の一つとして参加することとしました。
本トレーニングは、イラクにおける平和構築のための人権分野での支援活動であり、UNDEF(国連民主主義基金)の助成を受けて実施されます。
当連合会は、IBA(国際法曹協会)等とともに、トレーニングの企画・立案、実施にあたります。本トレーニングでは、日本を含む5カ国から派遣される講師チームが、プラハに招聘されたイラク弁護士約50名に対し、国際人権法・人道法(特に、刑事司法、女性及び子どもの人権、信教の自由、国際刑事裁判所)をテーマとして講義を行います。
本トレーニングへは、当連合会の担当副会長1名に加え、講師として弁護士2名を、講師補助として若手弁護士3名を派遣します。また、本トレーニング・プログラムの一部として、戦後60年の日本における国際人権法・人道法の受容の歴史と弁護士・弁護士会の活動を紹介するワークショップを開催する予定です。
当連合会は、これまでもカンボジアやベトナム等において国際司法支援活動を行ってきましたが、今回は、国連の資金により実施される、国際人権分野の支援プロジェクトへの初参加としての意義があります。当連合会は、今後も、広く国際人権基準の実施を目指し、本トレーニングのような意義ある国際人権活動に積極的に貢献していく所存です。

自衛隊のソマリア沖への
派遣に反対する会長談話
(要旨)
 政府は、本年1月28日、ソマリア沖海賊対策のために自衛隊法82条に基づく海上警備行動として、海上自衛隊をソマリア沖に派遣する方針を決定した。
 これを受けて、同日、浜田防衛大臣は派遣準備指示を出し、派遣に向けた準備が行われている。
しかし、自衛隊の活動は、憲法9条の趣旨に沿って「自衛のため」の範囲内に止められるべきことが大原則である。
しかるに、今回の海上警備行動は、領海の公共秩序を維持する目的の範囲(自衛隊法3条1項、同法82条)、すなわち「自衛のため」の範囲を遙かに超えてソマリア沖まで海上自衛隊を派遣するものであり、その点において憲法9条に抵触するおそれがある。
 また、海賊行為等は、本来警察権により対処されるべきものであり、自衛隊による対処にはそもそも疑問がある。
 ソマリア沖の海賊行為等は、深刻な国際問題であり、国連安保理決議がなされているなど、問題解決のために、国際協力が重要であることは明らかである。
しかし、わが国が今、国際社会の中でソマリア沖海賊対策としてなすべきことは、日本国憲法が宣言する恒久平和主義の精神にのっとり、問題の根源的な解決に寄与すべく、関係国のニーズに配慮しながら人道・経済支援や沿岸諸国の警備力向上のための援助などの非軍事アプローチを行うことである。
よって、当連合会は、ソマリア沖に自衛隊を派遣する海上警備行動の発令に反対する。

市民マスコミとの懇談会
 日弁連執行部は、その活動内容を広く国民に理解して頂くために、さまざまな広報活動を行っています。
 機関紙誌の日弁連新聞、自由と正義、JFBメールマガジン、裁判員裁判のファクスニュース等多様な方法手段をとっています。
そのなかでも重視しているのが、日本弁護士連合会市民会議とマスコミ各社との意見交換会です。今回は、その市民会議及びマスコミとの対応について紹介します。

[日本弁護士連合会市民会議]

 日弁連は、国民にその活動内容を理解して頂き説明責任を果たすため、公益性ある組織として会務運営をより透明化するために総会とその議事録を公開すると共に、新たに「市民会議」を設けることとしました。
「市民のための司法の実現」のために2001年12月、政府に司法制度改革推進本部が設置され、100年に一度といわれる司法制度改革が進められています。
改革の眼目は「市民のための司法の実現」です。日弁連は、市民の権利が十分に保障される豊かな民主主義社会を実現するために、実りある司法改革を実現すべく全力を尽くしています。この市民会議も弁護士制度改革の一環として設置されました。弁護士でない定数30人以内の委員により構成するが、当面10〜12人程度で、任期は2年、議長・副議長は委員の互選によるとされ、その目的は、弁護士及び弁護士会のあり方並びに日弁連の会務運営に関して、日弁連会長の諮問に対して答申すること、また、諮問されたテーマ以外にも、意見を述べることができるとされています。
委員は、現在次の方々です(敬称及び委員表示略)。
 井手 雅春(朝日新聞社会エディター代理)/片山善博(慶應大教授)/
 清原慶子(三鷹市長)/ 高木剛(連合会長)/
 ダニエル・フット(東大教授)/中川 英彦(前京大大学院教授)/
 宮本一子(日本消費者協会理事)/吉永みち子(ノンフィクション作家)/
 松永真理(株バンダイ社外取締役)

[要望の趣旨]

 市民に身近で、使いやすい司法を実現するための基盤となる法曹人口と、その養成制度の問題について、日本弁護士連合会に対して、以下の事項を要望します。
法学以外の専門分野を学んだ人や、さまざまな社会経験をもつ多様な人材を法曹に迎え入れるため、法科大学院を中心とした現行の法曹養成システムを改善する必要がある。
日本弁護士連合会、裁判所、法務省・検察庁の法曹三者と、文部科学省、法科大学院協会、経済団体、学識経験者、市民の代表者らを加えた総合的な協議機関を設立し、現行制度の問題点の洗い出しと、実効性のある一元的な改善策の検討に早急に着手するべきである。
 前項で述べた協議機関において、新しい時代に必要とされる、「あるべき法曹像」について改めて議論し、司法試験については、法律知識に偏することなく、あるべき法曹像に必要な資質と能力を問う形式と内容に改めるべきである。

 [マスコミ各社との意見交換会]

 これまで、中央あるいは地方の新聞・テレビとの論説・解説委員や各社個別に懇談を重ねている。年明け以降の次のとおり開催されました。日弁連は、裁判員裁判の取り組みと、諸外国に比して余りにも低い法律扶助の拡大を求める点です。

★テレビ東京 1月29日 13:30〜15:30
★NHK   2月 2日 14:00〜16:00
★朝日新聞  2月 3日 15:00〜17:00

ここでは、法曹人口の日弁連提言について厳しい意見が出されました。
私は、国際人権諸機関の日本政府に対する勧告内容について訴えました。

★毎日新聞  2月17日 13:30〜15:30
★マスコミ各社・論説・解説委員との意見交換会(第2回)
    2月 3日 13:30〜15:30

ここでも、法曹人口の日弁連提言は司法改革の初心を忘れるものと厳しい批判が出されました。
私は、司法改革堅持論で最終的には10万人も止むを得ないと考えているが、現状は余りにも急激な拡大であり、もっと条件整備がなされなければならないと訴えました。