前ページで紹介した水中翼船ですが、残念なことに解体されてしまいました。このサイトで紹介した写真がほぼ最後の姿となってしまいました。サイトで紹介していなかった写真を公開すると共に、この水中翼船に関する情報を頂いておりますので紹介します。
下関市在住の楠本さんからこの水中翼船の型式について情報を頂きました (1999/07/11 UP)
前略 彦島の水中翼船など知って気にかけるのは、下関市民でも私ぐらいだろうと思っていたところ、「水中翼船」で検索したところ、こちらのページを発見しましてメールを札上げることにしました。 この彦島にある水中翼船そのものについての、誰が、何のために購入し、そしてここに現在まで置かれているのかについては、残念ながら私も知りません。 先日、古本屋で「世界の艦船」誌1974年12月号を購入しましたところ、偶然にもこの水中翼船の同型船が記事に出ているのを発見しました。以下に記事の要点を記します。 この水中翼船は、ソ連船舶輸出入公団(日本総代理店は前川商事)が、日本へ輸出しようとしたもので、1974年に日本へはるばる自力回航し、東京・大阪・名古屋で関係者に披露および試乗航海を実施しています。その時の感想は「乗り心地はなかなかよい」というものだったとか。 このコメタ−Mは大きさの割に耐候性の優れた設計で、温寒帯用と熱帯・亜熱帯用の2種があり、いずれも内海だけでなく沿海航路にも使えるというのが、ソ連側のセールスポイントだったとか。1974年当時のそれまでの輸出実績は14カ国に50隻だったとのこと。 当時の記事でも「はたして遠路渡来してのセールスの成果はどうなるだろうか」と記されていることから、日本でのセールス実績はほとんどなかったものと思われ、ましてや国内に現存している船体はこの一隻くらいしかないと思われます。 主要目は 満船排水量 58.5トン (熱帯・亜熱帯用仕様では58.0トン) 長さ 35.1メートル 船体幅 6.0メートル 最大幅 11.0メートル 停止時きっ水 3.6メートル 翼走時きっ水 1.7メートル 旅客定員 116名 (熱帯・亜熱帯用仕様では102名) 航海速力 32ノット 航続距離 240浬 ※熱帯・亜熱帯仕様で満船排水量・定員が異なるのは、冷房装置搭載のため。 主機はディーゼル2基、2軸で、最高出力2200馬力(熱帯・亜熱帯用は1800馬力)。波高2メートル、波浪階級4まで翼走可能で、燃料消費量は100浬走って約1トン。オーバーホールなしで約6000時間運転可能だとか。 船体は、アルミ・マグネシウム合金製で、煙突(排気筒)は船体中央部に2本並列で設けられており、現在雨水流入防止のためかビニールがかけられている場所です。そこから後尾に続いている垂直の板は「安定板」だそうです。 以上が、この水中翼船「コメタ−M」の概要です。何かのご参考にでもなれば幸いです。当方はスキャンを持っていませんので、この記事写真をお送りできないのが残念なところです。 前記しましたように、これはあくまで「旅客用」であることから、鮮魚の輸送にはまず使われなかったものと推測されます。 長くなりましたが、これにて失礼させていただきます。 |
【「当方はスキャンを持っていませんので」とのことでしたが、投稿いただいた方から該当記事のコピーを頂きました。現在、「世界の艦船」誌を出版している株式会社海人社に掲載写真の転載を打診中です。また、楠本さんから引き続きのようなメールも頂きました。この件については、私も1999年4月末の時点で確認しました。】