服部明子の平家物語研究室

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頼朝の娘達の死の謎

 

■ 千手の前

 千手の前のその後については「重衡に言われるとおり、その後も普通に暮らして普通の結婚をして普通の人生を送ったのではないか?」とのお話もあります。私は男と女の別離は未だやったことが無いので分からないのですが私が千手の前だったら、つまり妻では無い女にとって、どう答えるかと言ったら「泣いて」しまいます。普通の男と、普通の暮らしの中で、普通の結婚をして、普通に人生を送るなんて。。。絶対そんなの嫌!!!って泣き叫びそうです。運命は見えているのだから、決して命を許されないのだから、死んでいく人から「普通の」日々を送りなさいと言われるなんて辛過ぎます。このあたり八代アキの歌の世界になりそうです。「あなたが死ぬなら私も一所に死にたい」って。

 重衡にとって、つまり男にとってはそういう言葉しか女にかけてやれないのでしょう。千手は妻じゃないから束縛は出来ないから、他の男に嫁いで子供を生んで人並の人生を送りなさい、としか言って上げられないんでしょうね。

 でも私には1番残酷な言葉ですよ。私が千手だったら何て言われたいかしら?

「君と一緒に約1年過ごして、まさかこんなに心穏やかに死を迎えることになるとは思わなかったよ。」。。。今度生まれ変わったら一緒になろうね、では松田聖子と郷ひろみになってしまいますね。ああそうだ、私だったら「1度は自害しようとした自分なのに、生きてて良かったってしみじみとこの1年の日々を思うよ。こういう形で君と出会ったことは残念だけどこれはこれで良かったって思う。君には何もしてあげられないけど、わたしが感謝して死んでいったというのは忘れないで欲しい。君には幸せになって欲しいけど何の力にもなってあげられな
いからせめて月の光となって君を見守るよ。」

なんだか別れのセリフを男と交わしたくなりました。

 


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