2001年９月４日　彦島検疫所９月解体、市議会一般質問で明らかに
山口新聞　2001年９月５日朝刊
彦島検疫所
　　活用求める民意無視下関市
　　　　　　「不要」の回答受け国、月内に解体着手
　下関市彦島江の浦町の彦島検疫所（現厚生労働省・福岡検疫所門司検疫支所彦島措置場）をめぐって、保存活用を求める地元住民に「関係機関と協議し今後の活用を検討したい」と回答していた市が、国には「使い道がない」との文書を提出していたことが、四日の市議会で明らかになった。
　近藤栄次郎議員が一般質問で、同検疫所は今月末までには、国が解体工事に入ることを指摘。江島市長が五月中旬、地元要望に対して、活用を検討する旨を文書で回答していたため、解体決定までの説明を求めた。
　彦島地区の県議や市議らで作る彦友会が地元要望として、巌流島との一体的な利活用などを求めていた。　
　異儀田博己政策調整監が経緯について、庁内会議で�@敷地から基準値を超えるシアン化合物が検出された�A保存すれば道路拡幅など都市計画を見直さねばならない�B跡地に海上保安庁が灯台建設を予定−を理由に、国に保存要望しないことを決め、厚生労働省に市の意思として文書を提出したと説明した。
　近藤議員は「市がどういう見解でも住民にバックすべき。市民参画推進を掲げる市が、住民の声を無視したやり方でいいのか」とただした。
　異儀田調整監は「再度、庁内で検討するが、国に対しては一度文書を出しているので、保存要望は難しい」と答弁。
　江島市長は「今後の方針を含めて、地元の皆さんに話す機会があると思う」と答えた。
　国は六日に解体工事業者の入札を行い、今月中に解体作業に入る。